【書評】東芝 粉飾の原点


・東芝 粉飾の原点 著:小笠原啓

ここ数年の東芝の不正会計の顛末を綴った一冊。
東芝の不正会計としては、

・利益の不正な積み増し

・原子力事業の減損逃れ


の2つが挙げられている。
前者は以前「チャレンジ」という言葉が話題になったが、予算を達成できない事業において会計処理の不正を行う事で見かけの利益をかさ上げしていたという事実。

後者は福島原発事故以降、原子力事業が立ち行かなくなり、減損処理(会計用語ですが、要は事業の適正な価値を判断し、価値が無いと判断した場合に損失処理する事)を意図的に回避していた事実。

この本では、経営幹部が自らの経営判断の誤りによって生じた損失に対して、それを隠そうとし不正な会計処理を行ってでも損益を改善するよう圧力をかけていた、という点について、なぜそのような事象が起きたのかについて論じている。

同時期に経営危機が話題となっていたシャープと違うのは、この「不正な処理」という点。
損失を隠すために長年不正処理を行い続けていたという事実が明るみに出たが、これだけの規模の企業でよく不正がまかり通ったな、と思う。
一方で、この規模だからこそ、株主を中心としたステークホルダーからの利益拡大に対する圧力が強く、不正をしてでも見かけをよくしよう、という意図が働いてしまったのかとも思う。
なんにしても、経営者としての器の小ささが問題なのですが。

ただ、今の時代に「利益は拡大させることが出来るのが企業として当たり前」という考え方自体がそぐわないのではないだろうか。結局株主=投資家の利益に対する強欲が、企業にプレッシャーをかけていて、それが誘発しているとも思った。
世の中モノは溢れていて、これ以上何が必要なんですかね、と一般人として思うが、投資家の欲望は次元が違うんでしょうかね。

こういう事件が起きると株主が経営層を訴え始めたり、株主総会でクレームつけたりするのだが、それに対して特に共感も抱かないですね。投資するというのは、その会社の振る舞いに多少なりともリスクを負うということですから、内輪もめするのは構いませんが、ちゃんと負うべきリスクは負ってください、としか思わない。
東電もまず株主に投資額を全額負担させてから税金投入だと思ったのですが、なぜ潰さなかったのでしょうね。
都合の良いときにだけ国を利用するのは悪徳資本主義ですよ。

今後もこういうケースは出てくるでしょうね、産業構造の変化などによって、本当はもう儲ける術がない会社なのに、利益追求のプレッシャーを外部からかけられた挙句、不正に走る企業というのが。


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by dwd31 | 2017-05-30 19:38 | 書評 | Comments(0)

ボードゲームのプレイ記録です。累計300種類プレーに到達しました、面白いゲームを紹介したいと思います!


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